ARI 60&70 プロト開発釣行記
「嵐の前の尺ヤマメ」 田中 秀人
火曜日は僕の休日でフィッシングの日。
今年の火曜日はことごとく雨や増水、濁りとの戦いが続いている。
魔の火曜日が走馬灯のように回転して止まらない。
こういう休日ごとに巡りが悪い年もあるのだが、
そこはポジティブにとらえよう。
その状況でどうするのか?
その積み上げが困った時の多くの引き出し作りに繋がる。
案の定、昨日の火曜日は台風襲来の当日であった。
朝一から本流を覗くが、ゴールデンウイーク中に休止していた工事の再開で
再び重機が川岸に居座り、昨日川底を掘り返した濁りも入っている。
興醒めして、河川変更のドライブが今日も始まる。
2つ目の区間も濁りが入っている。
少しロッドを振ってみるが生命感に欠けるのですぐに見切りをつける。
またまたドライブで30分移動だ。
河川を変更しよう。
移動先の水色は良すぎるぐらい透き通っている。
水がジンクリアーで逆にシビアかもしれない。
もうすでに4時の起床から4時間が経過している。
しかしこの見切りをつけて移動した判断が吉と出る。
台風が接近し風は相当強いが、ゴルジェに入り風裏を探して入渓。
出だしから良型のヤマメにイワナに連続してヒット。
ここから2時間わくわくするプライムタイムが続く。
この河川は成魚放流がないので(天然繁殖と発眼卵放流のみ。)
釣れてくるトラウトたちはビンビンのワイルドだ。
思い通りの釣り。狙い通りの最高のトラウトたち。
「バッチリはまったな。」
産まれる前の秘密兵器、アリ70プロトに話しかける。
現在進行中で開発中のアリ60&70
先日バッチリはまって「もうOKなんじゃないの?」
と話していた60だが、もう少し試してみたいことがあると・・・
そこで少し素材の比重を変えて試してみることにした。
ところがところが意外な結果が・・・そこが面白い。
ほんの少し比重を変えただけで動きが気に入らない。
また前回一番に良かった素材に戻してと、次回プロトをリクエストする。
ぱっと考えてぱっと出来るほど甘くないのが秘密兵器の開発。
前回の素材テストもなんと5種類の比重を変えたプロトで臨んでいた。
その中でバッチリ気に入ったのは一つだけなのである。
それほどシビアなテストを繰り返しフィールドでの開発が続く。
妥協は許さない。
これはボディーの形状から始まり、リップの取り付け位置、形、角度。
ウエイトの量、内蔵する位置、当然素材の比重と数多くのチェックポイントを
パズルのように組み合わせながら消去法で最高のセッティングを目指してゆく作業だ。
シンキングミノー全盛の時代。
狙いはウルトラヘビーのさらにその先。
エクストラウルトラヘビーの未知なる領域へ・・・。
さらに重くてさらに沈んでさらによく動く。
この相反したパラドックスを一個のミノーに同居させるのである。
究極のEXヘビーウエイト トゥイッチングミノーが奇跡のポテンシャルを
発揮するのだ。
60はかなり来ている。
前回の方向性でほぼOK。
そして今回のセッティングでは70が素晴らしくハマった。
気持ち良いぐらいよく泳ぐ脅威のスイムバランス。
「バッチリじゃないか!!」
てなわけで、昨日の火曜日は必然的にARI 70の縛りに近い釣りになった。
外見は体高とボリュームのあるボディーだが、動きはビビッドで繊細。
その動きにシビアなヤマメも激高する。
ヤマメ釣りにバルキーな7cmミノー?と思われるかもしれないが、
昨日の条件ではミノーサイズを5から7に上げることにより、
ヒットするヤマメのサイズが上がった。
同行の友人は6センチのザウルスのスパシンメインで、
僕のヤマメより全体で5cmアベレージが下がった。
7cmのサイズがハマったということだ。
良型のヤマメ、美しいイワナ、9寸のヤマメに・・
クライマックスはオスの激しい尺ヤマメ。
腹の下のほうにまで斑点があり、パーマークは細くて
トラ模様のよう。
グレーがかった体色は婚姻色ではなく、この河川の一部支流でみられる
純天然の特殊な色合いの固有種。
いわゆる本ヤマメ。
わかりやすく言えば昔からみられるこの河川特有の在来種。
昔ヤマメだ。
しかも尺越え・・・これは相当うれしい。
見事な固有種「虎ヤマメの尺越え。」
文句なしとため息が漏れた・・・。
午前10時を過ぎると大木がぐらぐら揺れるほどの強風で
立っているのもつらくなり、新緑の若葉が桜吹雪のように散る。
危険を感じてストップフィッシング。
2時間ほどの集中した時間帯で
10匹のパーフェクトトラウトと出会った。
ARI 60&70の可能性と未だかつてない領域への
アプローチが、次世代のトラウトフィッシングを変えるかもしれない。
それほどまでに、期待と夢を抱かせるプロジェクトなのだ。
さてさて、次に上がってくるプロトはかなり明白に形になってくるだろう。
恐ろしい秘密兵器を手にして、
最終段階のテスト釣行に臨む。
物凄いものが炸裂する予感がする。
今後の推移と、釣果報告、そしてひたひたと忍び寄る
次世代のニューカマーにご期待いただきたい。
思いっきり期待をあおって、本日はペンを置く。
間違いなく時代が変わる・・・・・。
It‘s coming soon!!
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