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投稿者 : win@clue 投稿日時: 2024-04-26 08:33:42 (779 ヒット)

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投稿者 : hide 投稿日時: 2015-06-19 14:47:56 (6451 ヒット)

バンブーロッドとARIと私

                   株式会社サンレアル  山口 斉

            

             初物尽くしの雨の渓流

 

先日SJ師匠こと秀兄さんとARI-60.70の打ち合わせがあり、

秀兄さんを待っていると、 

何か白く長い布に包まれた物を持って秀兄さんが登場。

何だろう?

事務所に行くと包みを開いてくれて、『斉、これ使ってみろ』と一言。

 

ずっと憧れていたザウルスジュニア・オリジナルバンブーロッド

NORIKURA56ULが・・・・

 

秀兄さんの肝いりで何度も何度もサンプルを作り、恐ろしいほどのフィールドテストを重ねて完成したロッド。

大人の男が本気で楽しみ遊ぶ為のロッド。

何処にでもあるバンブーを使っただけのルアーロッドとは違い、

全く異次元のバンブールアーロッド。

 

42歳に成っても未だにガキみたいな事ばかりして、

バカばっかりやっている私が使って良いものか考えて固まってしまう。

『いいから使え。』

20歳のころから釣りの師であった秀兄さん。

いい加減大人の釣り士になれと言われた気がした。

バンブーロッドにあわせてベイトキャストが苦手な私にも使い易いリールも準備して頂きました。

リールは五十鈴のレフトハンドル。もちろんSJスペシャルチューン

何とか仕事の都合をあわせて頂き6月19日久しぶりに秀兄さんと釣行。

 

前日からの雨。

当日もやはり雨、

秀兄さんと合流するとお互いの雨男ぶりに思わず笑ってしまう。

ホント相変わらずの雨やな・・・・・こんな会話をするのも久しぶり

秀兄さんと釣りに行けるのが嬉しくて少し興奮気味の私でした。

しかし秀兄さんロッドを持っていない。

今回は竿を振らずカメラマンに徹するとの事。

まずい!

いきなり緊張してきた。

『何時も通り釣ってくれれば良いよ!』

しかし師匠の前で私だけ竿を振るのはかなり緊張する。まるで受験の実技試験の様な気分。

『雑誌の取材よりは楽やで頑張って』と励ましの言葉を頂くがますます緊張するばかり。

 

道中そんな話をしているとポイントに到着。ここは梅雨時になると大型ヤマメが釣れだす場所。

 

車の外は結構な雨。新品のロッドとリールを出すには少し残念な状況。

取り合えず何時ものスピニングでトライ。

しかし出ない!

どのポイントも出ない!!

チェイス自体がほとんど無く、有ってもルアーの後方0.5~1.0m位のところを真っ直ぐゆっくりと付いてくるだけ。

雨が降ってローライトの朝マズメ。

条件は良いはずなのに魚に全くやる気がない。

あの手この手で探りまくるもノーバイト。

釣り上がる事1.5時間やっとで竿抜けするゾーンに突入。

何とかチビ岩魚様が2匹

高原川ルアー

双六谷ルアー

(目立ちたがりの1枚)

後ろで秀兄さんが『ここから良くなるんかな?』

しかしその後もほとんどチェイスも無い状態。

大場所を二箇所すぎたところでトラブル発生。愛用のカーディナルのギヤがロックしてしまい巻き取り不可状態に・・・・・

『ホント斉もっとるなー』『スゲー確率やな』

返す言葉も有りません《やまぐち汁出しまくりです。》

場所移動もかね車に戻り次のポイントへ。しかし水が少なく元のポイントの下流側へ。

 

いよいよNIRIKURA56ULの登場。

今までも本流トラウトやBASSのトップウオーターゲームでベイトキャストを使っていたのですが、支流でのベイトフィネスが苦手で、スタッフのゆーたからも、もっと練習して下さいと言われるほどの下手さです。一時期はロッドごと川に放り投げようとしたくらい苦手でした。

秀兄さんとゆーたの協力を得て何とか私の思うとおりの釣り方が出来るようになり、初めてキャストしているだけでも楽しいと感じました。

 

次のポイントですが魚が止まると思われる場所。

水深があり複雑な流れとボトムにスリットが入ったところ

 

アップクロスでキャストしてボトムまでARI50-F-Hを沈め、見せるトゥッチを3~5回行いラインスラッグを流れに乗せ大きなひらがなの【し】の字を流れに描くようにして【し】の字を徐々に解く様にしながら、食わせる連続トゥッチを入れ流れを横切らせる。    

ドンッ

初物尽くしのタックル、

それも数回キャスト練習しただけのタックルで綺麗な岩魚様

高原川ルアー

高原川岩魚

バンブーロッドNORIKURA56ULが綺麗な弧を描く。

さすがバンブーロッド!! 魚が尻尾を振っているのが判る手応。

御世辞ではなくカーボンでもグラスでも解らない魚の動きが判る心地よさ。

そしてバンブーロッドのしなやかさが魚を優しく寄せてくれる。

初物が尺上の岩魚様。

高原川 ドライフライ

(祝初物)

これは縁起がいい。秀兄さんと握手をしてもう一回キャスト。

先ほどと同じパターン。

クロスした瞬間

ドスッ 

ワンキャストワンヒット。

今度はヤマメ様。

高原川 yマメ

双六谷 ヤマメ

3匹目のどじょうは?

さすがに3連発は有りませんでしたが、5キャスト目で小さめですが岩魚様。

この岩魚様ボトムに沈めてから見せるトゥッチでバイトしてくれました。

高原川 岩魚

 

 

お昼になったので場所移動と昼食の為移動。

 

次の場所も水深があり太い流れのある場所。

今度はARI50F-UHの出番。

さっきと同じ方法で探っていきます。

太い流れの向こう側へキャストしてボトムまで沈めます。このときラインメインディングをして手前の流れにラインを持っていかれないようにします。

着底後【し】の字を描くようにラインスラッグをつくり、見せるトゥッチから食わせる連続トゥッチを行います。

数投目で小型の岩魚様

双六谷 岩魚 岩魚ルアー

3時から仕事に戻らなければいけないので。

最後のポイントへ大急ぎで移動します。

水深は余りありませんが、水量が多く太く早い流れ。

アップでの釣りが辛い場所なのでここはダウンの釣りに変更。

やっている事は最初と変わりません、とにかくボトム近くで見せるトゥッチと、それからの食わせる連続トゥッチこの方法で釣り下ります。

時間が無かった為、最後のポイントは途中でストップフィッシングになりましたが、この方法でひれピンのアマゴ様に御逢いする事が出来ました。

高原川 アマゴ 双六谷 アマゴ

ザウルスジュニア様バンブーロッドNORIKURA56UL

ARIシリーズ最強の組み合わせでした。

動画の撮影もしましたので近日中にUP出来ると思います。


投稿者 : hide 投稿日時: 2015-06-17 08:36:20 (4442 ヒット)

飛騨の渓流とアリ50釣行記 尺上乱舞!

「脅威の釣力。アリ50の漁師的爆釣をあなたも味わってみないか?」

                            TOKYO ROD & GUN CLUB  田中 秀人

 

 火曜日は僕の休日。

この日は丸一日、自由に時間を使える。

最近はアリの70に偏って釣りをしていたので、渓流のアリ50も

そろそろ出番かなと思っていた。

なんせこのアリ50、恐ろしく釣れるのだ・・・。

僕はダメなものを褒めたりすることは、決してしない。

評価は辛口だ。

しかし実績で証明された、このミノーの恐るべき能力。

このアリの評価だけは手放しに舌を巻く。

 

そのポテンシャルを今年も皆さんにお伝えしたいとウズウズしていた。

 

けさ早く自宅を出て、本流を覗くが、渇水状態。

梅雨入りしたものの、まとまった雨は降っていない。

所により局地的な豪雨はあったが長く続かない。

てなわけで、梅雨なのに渇水・・・。

 

さっさと本流に見切りをつけて支流の渓流へ。

この渓流はイワナとヤマメの混成。

数も型も狙える大好きな渓流。

これが大当たりだった。

飛騨トラウト

*(見事なボディー)

 

尺がらみの大型のヤマメが顔を出し、その後も大型が連発する。

岩魚も混じる。

チビから大型まで大小合わせて、絡むように連発してくる。

飛騨高山トラウト ルアー

*(このサイズがアベレージ)

 

結論から先に言うと、

午前中だけで、ヤマメ20数匹、岩魚10数匹。

飛騨トラウト ルアー 宮川ルアー

*(針がひしゃげるバイト)

 

尺上も乱舞して数、型ともにそろったパーフェクトデイ。

飛騨地方ルアー トラウト

*(尺上岩魚 野生の眼光)

 

実は午後から物凄い雨と雷に襲われ午後2時にはロッドオフ。

いわゆる、雨の前の荒食いに遭遇したのであった。

飛騨 宮川 小八賀川 荒城川 ルアーフィッシング

*(美しきヤマメの銀鱗)

 

そして、タイミングさえあえば僕らにはアリ50がある。

物凄く釣れる・・・。

漁師の道具のように釣れる・・・。

「脅威の釣力。アリ50の漁師的爆釣をあなたも味わってみないか?」

間違いなく渓流のイメージが変わるはず。

次はあなたも爆釣だ!

飛騨 尺ヤマメ

*(大型のヤマメ 尺がらみ)

 

尺がらみのヤマメに良型も多数連発。

岩魚は最大で35~6cmの軽く尺上。

渓流の尺超えは価値がある。この流れではかなりの大型だ。

飛騨岩魚 大型岩魚

*(軽く尺越えの岩魚)

 

タックルは相棒のノリクラ バンブー 56ULベイトとアリ50。

今日もこのアリ50が大暴れ。

カラーチェンジとスリム・ファットとウエイトの違い、

6タイプの状況を選んだ変更で、次々とアタックしてくる。

*(美しすぎるヤマメのパーマーク)

 

森が騒ぐ。

鳥たち、虫たち、アマガエルに、獣の痕跡。

グリーントンネルで僕も森の一部になって流れに浸る。

至福のひと時・・。

飛騨 ヤマメ釣り

*(この可憐な表情に惹かれる)

 

突然の土砂降りと雷鳴に慌てて車へと急ぐ。

全身ずぶ濡れだが体中から湯気が上がっている。

梅雨入りして間もないこの一日。

岩魚 飛騨

*(躍動する岩魚)

 

アリ50のポテンシャルと飛騨の渓流のポテンシャルを、

どっぷりと味わった、納得の一日であった。 

 

さあ あなたもアリユーザーの仲間入りをしてみないか?

確実に貴方のミノーイングの世界が変わる。

 


投稿者 : hide 投稿日時: 2015-06-12 12:42:33 (4725 ヒット)

アリとワイルド ビッグ レインボー 60cmオーバー 釣行記

TOKYO ROD & GUN CLUB  田中 秀人

 

飛騨の本流にはとんでもないレインボーが潜む。

そのレインボーを狙って、48年・・・

もう半世紀近くもこの魚を狙っている。

うーん・・馬齢を重ねたものだ・・。

3歳から釣りを始め、はじめって釣った釣り堀のデカニジ、

そして川上川エンサイ護岸から釣った、

生涯初のワイルドレインボー 15cm。

親父に一緒に竿を握ってもらい、2人で釣った初めての天然ニジマス。

(そりゃ親父が釣って、お前は手を添えていただけだろう!)

ここから僕とワイルドレインボーとの付き合いが始まる。

最初は脈釣り(餌釣り)、そしてテンカラ、

小学5年からはルアーに目覚めスピナーとスプーンでこの魚を狙った。

 

当然そのルアーとタックルでは大物の相手にはならない。

何度か訳のわからない巨大な相手にやられたが、それは鯉だろう・・・

くらいにしか思っていなかった。

今思うとあれはビッグ レインボーだったと・・・。

 

25年位前の話だろうか・・

師匠の則さんがブラウニーを

九頭竜に持ち込んでサクラマスを連発した。

そう、流れのサクラマスプラッギングの幕開けだ。

その記事を見ておどろいた僕は、

すぐにブラウニー11cmとラパラの11cmを手に

地元の本流に向かった。

ピンときた・・・・あの流れでブラウニーを引いたら・・・

アユの友釣りをやっていてビッグレインボーに

おとりアユを取られた経験が何度もあった。

(高校生まではアユもやっていた。何でもやるな、お前は!)

間違いなくこの流れのプラッギング・・この釣り方で・・・。

 

その時は物凄いことが起きた。

流れの中でアユを喰っている

ビッグレインボーが1日10本以上ヒットした。

それからしばらくは

自分一人で、そのパラダイスを独占したのである。

地元の腕利き自慢のルアーマンは、

「そんな早い流れで釣れるわけがない。

デカいやつは淵の底にいる。沈めなければ釣れない。」

あいつは嘘つきだ呼ばわりされた。

 

そして長い付き合いが始まる。

今では多くのアングラーが

飛騨の本流のガンガン瀬でビッグレインボーを狙っている。

 

それから色んなことがあったが、今年の飛騨の本流は大変だ。

昨年の災害で至る所で工事中。

当然濁りが出て平日は釣りにならないことが多い。

そしてあの災害で魚の数は30%にまで減っている。

日曜・祝日に工事が休みで濁りが止まっても、底石には泥が堆積し、

川虫の数は10%くらいまでに減ってしまった。

当然小魚に影響し、ビッグトラウトにも影響する。

あまり良い状況ではない。

 

今年は高山市街地を流れる本流の下流域に出かける頻度は減り、

最下流域で合流するもう一つの本流に多く出かけている。

もう一方の本流のほうが

災害のダメージが少なかったのがその理由。

こちらの本流も下流域はワイルドレインボーの生活圏で、

状況によるが同系統のレインボーが狙える。

面白いのは河川環境で体色に少し違いがあること。

特徴としてどちらの河川のワイルドも全鰭ピンピンは当然。

腹鰭と尻鰭の先端が白い。

このタイプを釣ったらぜひリリースをお願いしたい。

 

昭和初期から原種の血統を自然産卵で繋いでいる一群だからだ。

これは北米原産のワイルドレインボーの稚魚が

飛騨水産試験場と漁協の運営で、

1950年代に飛騨の本流に放流された末裔だ。

国内で北海道を除き、本州で自然産卵しているニジマスは

飛騨のこの本流の系統と、

中禅寺湖流入の一部河川しか聞いたことがない。

それだけ大切な魚なのだ。

 

今年の課題はアリ60&70で飛騨の本流レインボーを

オリジナルのバンブー ノリクラロッド58MHで仕留めること。

イメージは出来ている。

ビッグレインボーはセレクティブで小型のミノーを好む傾向にある。

ビッグトラウトチューンしたアリ50でもほとんどやられてしまう。

フックのサイズの問題だ。

投入する60&70 適性のフックとスプリットリングが使える。

張り付いて動かないレインボーの層に入れてフラッシングで誘うのだ。

 

最近は、皆さんにも釣ってもらいたいという思いから、

レインボーの特Aポイントはあまり手を付けていない。

しかし、しばしこのミッション、

アリとノリクラロッドのテストのために封印を解く。

 

早速出かけたあの本流。

巨大な岩がゴロゴロと点在して、遡行はまるでロッククライミングだ。

下流域に行けば行くほどゴルジェになり人の侵入を拒む。

相当の経験がなければ危険なエリアだ。

今日はドピーカン・・

梅雨入りした東海地方だが飛騨はまだそれほどの雨は降っていない。

今日も夕方から雲行きが怪しくなるまでは、晴天の一日だった。

 

朝一は仕事をこなして、午前中ゆっくり出かける。

朝マヅメは?・・・

アユを喰っている奴らは

稚アユが活発に動き出す午前9時、10時ころから連動して活性が上がる。

日中に激しく捕食するのである。

この時期のビッグレインボーを手にした時間帯は、

ほとんどが真っ昼間なのである。

 

そしてドピーカンの真っ昼間・・。

今まで何本も50オーバーの岩魚やビッグレインボーを手にしてきた、

特Aポイント・・・あの大場所の頭。

飛騨ルアーフィッシング 高原川ルアー ビックレインボー

(61cm激しくバイト)

 

いきなり、その頭に入ってアリの70を送り込む。

泡の下に入りキラッツキラッツキラッツキラッツキラッツ・・

5回目のトゥイッチにリトリーブがフッと止まった。

まるで藻に引っかかったような、箒で掃くようなモゾッとした当たり。

「来た!ビッグレインボー!!」

その小さなあたりがビッグレインボー特有の押さえ込みであることは

過去の経験で熟知している。

ビッグレインボーの当たりはコツンと小さいことが多い。

思いっきり合わせを入れてやると、瞬時にターボチャージャーがかかり、

ビッグワンが猛スピードで走りだした。

20mドラッグを引き出してジャーンプ!!ジャーンプ!!

「跳べ!跳べ!さあ来い!」

「ヒュッヒュッツヒュー!!」思わず声が上ずる。

「ビイーーン!」空気を切り裂く糸鳴りがする。

恐ろしいスピードと強烈な引き。

さらにシャープなジャンプを繰り返す。

絶好調の魚体とパワーとスピードと!

一年中で今が一番強いのだ。

このファイト・・たまりません・・・・。

こんな物凄いファイトはワイルドレインボー以外では味わえない。

この場所は水通しの良い瀬から

一気に大淵へと流れ込むその岩盤の頭だ。

下に走っても障害物は無い。

どれだけ走っても大丈夫だ、さあ来い。

とにかくロッドをためて時間をかけてファイトする。

 

パーフェクトなファイト。

パーフェクトな魚体。

パーフェクトな昼下がり。

ワイルドレインボー

(アリとニジとノリクラロッド)

 

バンブーロッドのしなやかさが見事にパワーをいなして、

今、あの憧れのワイルド ビッグレインボーが手に落ちた。

6月の恋の季節に鰭が赤く色づいている。

(ここまで赤いのは、ちょっと珍しいな・・・。)

先端が白い腹鰭と尾鰭。

これはピンピンの鰭と共にワイルドの証だ。

 

見事なメスのワイルド ビッグレインボー 61cm

これが僕らの憧れである。

水につけたまま撮影して、なるべく早く流れに返す。

弱らせて殺すわけにはいかない。

レインボーは強烈なファイターだが

ファイトの後に酸欠で死んでしまうことがある。

撮影はなるべく負担をかけず水の中で、それも短時間で・・・。

プロのカメラマンのごとくバシャバシャと連写して

(腕は素人ですが、連写だけ忙しく・・)素早くリリースの体制へ。

そしてここからは、

しっかり時間をかけて自力で強く泳ぎだすまで時間をかける。

もうこの一本で十分だ。

 

このワイルドレインボー、背中に傷があった。

プロポーション、全鰭、コンディションともにパーフェクトなのだが、

背中の傷が・・。

よく見ると左右対称に傷がある。爪で刺したような・・・。

おそらく猛禽類に狙われて背中を爪で掴まれたのだろう。

大きすぎて持ち上げられなくて命を繋いだのだろうか・・。

余計に殺すわけにはいかない。

強い願いの元、完全なリリースを心がける。

どうしても産卵してこのDNAを繋いでもらいたいのだ。

このメスの子孫をまた何年か後に釣ることができますように・・・。

憧れと願いの中で淵の底に消えるビッグレインボーを見送った。

飛騨ビックレインボー

( いい顔してるなー)

 

いつまでもこんな素晴らしいワイルドレインボーを、

狙って釣れる川でありますようにと願う。

「全鰭ピンピン、淡いピンクの帯、淡いピンクの頬、

腹鰭と尻鰭の先端が白い。」

釣行記の中ごろにも書いているので、しつこいようだが重ねてお願いする。

このタイプのレインボーを飛騨で釣ったら、

サイズにかかわらず全リリースをお願いしたい。

今は放流されていない原種の末裔。

絶えてしまったらそこで絶滅である。

 

いよいよお届けできるアリ60&70.

恐ろしく釣れるアリ60&70はこのレインボーへの近道だ。

(さらにドアップのアリとニジのショット。

  猛禽類のように厳しいワイルドの眼光だ!)

 

しかし、運命のファイトを制したのであれば、

その後は乱暴に扱うのでなく優しく接していただきたい。

ファイトは激しく、そのあとは優しく・・・

 

この思いを、

お願いに変えて本日のロッドオフとする。  (さらなる旅へと続く・・・)

 


投稿者 : hide 投稿日時: 2015-06-10 03:06:41 (7276 ヒット)

アリで攻略する渇水時のサクラマス 

~アップストリーム アンギュレーション メソッド

                             TOKYO ROD & GUN CLUB  田中 秀人

庄川サクラマス 富山サクラ鱒 北陸サクラマス サクラマスルアー

(サクラマス! アリだ!)

 

近年ますます大人気のサクラマス。

釣り方もどんどん熟成され紹介されてきた。

これ以上方法はないのではないかという所まで、

この釣りへの執念は熱を帯びている。

 

サクラマスを本流でプラッギング狙う場合、どんな釣り方があるのだろうか。

流れの中のサクラマスに絞って考える。

 

クロスストリームの釣り、ダウンクロスの釣り、ドリフトの釣り。

これは3つの大きな流れだろう。

そこにトゥイッチング、ジャーキング、ストップアンドゴー、

ここぞという場所でのシェイクか。

リトリーブスピードの速いか遅いか、その組み合わせ。

ルアーのチョイスはフローティング、ディープダイバー、

ミディアムレンジの ディープダイバー、シンキング、

バイブレーション。

サクラマスはどこについているのか?

かけ上がりはどこだ?

スリットはどこだ?

ポイントのヘッドか?テールか?ストラクチャーは?

どの層を引くのか、どんなコースでどんなアクション?

遡上の状況は?釣果状況は?スレているのか?

潮はどうだ?水量は水温は?水色は?

ターンさせて食わせるタイミングをどこで作る?

頭の中を駆け巡る状況判断。

それを組み合わせながら攻略する。

ただ、実績ポイントで投げて巻いてでは確率は上がらない。

 

そして近年ブームとなっている、ヘビーシンキングの登場。

いままで限られた層を狙っていた平面の釣りが、

しっかりと沈むヘビーシンキングにより、

横の変化から縦の変化がプラスされて、流れの中を蝶々が舞うように、

3Dの動きでサクラマスを誘い出す作戦が可能となった。

これは僕が世に紹介した釣り方

「クイックトゥイッチン メソッド」がそれだ。

この釣り方により、今までのどの釣り方でも出なかったサクラマスが

ヒットするようになった。

 

さて、ヘビーシンキングミノー全盛時代のなかで、

群を抜いて釣果をのばしている アリ。

50サイズは主に渓流。

サクラマスを狙うには小ぶりすぎる。

リアシングル オンリーの方法もありだが、

基本的にはアリ50のフックはサクラには小さすぎる。

これはまた、深い世界なのだが、こちらのほうは次の課題として

熟成してゆく予定だ。

ビッグトラウト攻略のイメージはまだまだ広がっているのである。

 

現在テストで円熟期を迎えているアリ70は

このサクラマス ヘビーシンキング時代に殴り込みをかける

秘密兵器である。

できれば80サイズも加えて、

初期の水量のあるクロスストリームやドリフトの釣りにも

導入したいところだが、まずは70サイズから先陣を切る。

(アリ70 プロト)

 

このアリの70プロトが大暴れしている。

最近の釣行記を覗いていただければ、その実力は問答無用であろう。

そしてこのアリ70のポテンシャルは100%の自信でサクラマス攻略にすさまじい威力を発揮すると確信していた。

イメージは完全に出来上がって、

あとはこのプロトの70で実釣するだけであった。

 

その使い方は、クイックトゥイッチン メソッド。

沈ませる深さ、ポイントまで入れる角度、ターンさせる位置を考えながら、

3Dで流れを攻略する。

70のサイズの出番は、

・中小規模河川のサクラマス

・マンプレッシャーでスレている、サクラマスへのサイズダウンミノー

・通常のミノーでは届かない深いレンジへの送り込み

・渇水時のサクラマス

ざっくりまとめると上記の4パターン。

 

さていよいよ、現場での実釣報告となる。

当日は6月の中旬に差し掛かろうとする6月9日。

サクラマスシーズンとしては最終盤である。

このスレたターゲットを、渇水の中で、高水温時のサクラマスをどう狙うのか?

新しいメソッドの紹介と共に、ドキュメントをご一読いただきたい。

 

「本邦初公開!

アップストリーム アンギュレーション メソッド」

 

場所は庄川 富山県のサクラマス。

この川において、今年のユキシロは豪雪で長く太かった。

3月に解禁したのだが、平水より1m以上水位が高く、解禁は撃沈。

その後も5月中旬まで水位が高い状況が続き、

攻撃的な釣りをするには厳しい状況であった。

ポツリポツリと釣れてはいるが、僕の好きなポイントは潰れて、

下流域やテトラまわり、大場所などの

スローな釣りが釣れているメインの手法であった。

どうも触手が動かない。

「水位が下がってから出陣だ・・」

と思っているうちにシーズンが最終盤まで来てしまった。

5月終盤から6月頭まで北海道に遠征していたため、

この時期を逃してしまった感はあるが、

今シーズン中にアリ70でのサクラマス ゲットは、

僕の中で重要なミッションの一つである。

 

おそらく、北海道遠征中にいきなり良い水位に下がったのだろう。

毎日水位計を覗いていたので、狙いの水位表示に心が揺れた。

しかし体は北の大地。一度に二つのことはできない。

 

さて解禁日以来の釣行となった庄川。

覗いてみると渇水だ・・・。

プールは底まで見渡せる。トロ瀬もショボショボ・・・。

昨晩から雨が降ったがスズメの涙のようだ。

今は雨も上がり、時折雲間から陽がさす。

希望の水位から50cmは低い・・・。

さてどうする???

 

アリ70で一番おおらかに釣れる状況ではない。

そこで、いままでこっそりとやっていたメソッドをご紹介したい。

渇水時のサクラマスを アップストリームで釣る、

「アップストリーム アンギュレーション メソッド」がこれだ。

 

渇水・・スレまくっているサクラマス。

もはやマスとしての本能は失い、鮭のようになっている。

これはもはや、喰いあげて激しくバイトするとか、追っかけてきて

ガンと食うなどという状況ではない。

通常この水量と河川の雰囲気、水温、水色、

ましてや6月中盤というサクラマスとしては最終盤の時期に、

ロッドを振るまでもなく諦めてしまうアングラーも多いかもしれない。

 

サクラマスの釣りは

クロスやダウンクロスの釣りと決めつけていないだろうか?

こうした今日の状況で、ポイントに上流に立ったらもう終わりだ。

この釣り方は遡上アメマスのアップでのスローな釣り、

カラフトマスなどの遡上魚のアップの釣り、

湖沼型サクラマスが遡上する

秋の河川でのアップの釣りにも通じるものがある。

一つ大きく違うのは、上記の釣りが、

魚を見つけて狙うサイトでの釣りに対し、

サクラマスのこの釣り方はブラインドの釣りで、

見えないサクラマスに仕掛ける手探りの釣りである。

それゆえに想像力を大きく使って釣りをすることが肝となるのだ。

 

狙うポイントはガンガン瀬の中のスポット。

縦にスリットが入ってその中にマスが入っている。

ヤマメを渓流で狙うように、アップで釣る。

ただし、底に張り付いているので

しっかりとその泳層まで沈めることが重要だ。

中層まで追っかけて喰いあげることは無い。

大切なことは、スリットの位置と深さ、形状を把握すること。

 

今日の河川状況では好条件に当てはまるスリットは5か所くらいしかない。

下流域はトロで流れが死んでしまっている。

上流域はチャラチャラで川を渡れるくらい渇水。

もはやサクラマスがやる気を見せる状況ではない。

狙いは中流域のガンガン瀬の中である。

 

1つ目のガンガン瀬のスリット。

アップで上流に投げてボトムを少し切るくらいまで沈ませて、

なるべくストレートに引いてくる。

トゥイッチをかけるにしても軽くキラッとフラッシュする程度の

優しいアクションを2~3回。

食わせるタイミングでの早引きは厳禁。

なるべく遅く、流速に負けない程度のスピードで引く。

もう一つコツがある。

流心の少し脇を通して、マスが定位しているだあろう位置の前で

「しの字」にほんの少し角度をつけてやるのである。

角度にしてほんの5度くらいだろうか。

リトリーブコースに捻じれ(アンギュレーション)を作ってやる。

定位するマスの頭の前、10センチ位で角度をつけるイメージだ。

これは一投で決まらなくても、沈ませる深さやリトリーブのコース、

角度を付ける場所とタイミングなどを変えてやれば、

何回かチャンスがある。

魚の位置を想像しながら、

そのコースに通すイメージを微調整しながら一投一投に込めるのだ。

但し、禁止事項でポイントを潰さなければの話だが・・・。

 

では何をやるとポイントが潰れるのか?

禁止事項をまとめる。

・過度のウエーディングは厳禁。

 できれば水に入らない。

・ポイントの上流に入らない。

 上に入ったらもう終わり。

ダウンやダウンクロスの釣りで、このマスは釣れないのである。

・激しいトゥイッチングやジャーキングの禁止。

 この状況で激しいアクションは一発でスレてポイントを潰す。

これをやらなければ、何度かチャンスがある。

 

一つ目のポイントで音なし。

活性の低い魚の、さらにピンポイントでも反応せず。

こうした場合にはさらに作戦を仕掛ける。

 

これが「食わせないリトリーブ。」

怒りを煽ってスイッチを入れる法則。

アップストリーム アンギュレーション メソッドの

真髄、核心の部分である。

食わせないリトリーブとはこうだ。

 

マスを食わせるためのリトリーブコースが水深1.5mだとする。

先ずはそのコースの表層をただ引きの早引きする。

このリトリーブを食い上げって襲うような活性はない。

しかしマスはイラッとしている。

このイラッツが重要なのだ。

次にマスの定位する位置を外したコースをあえて引く。

次のキャストでは60Cm~1m位離れた脇のラインを

1mほど沈めて、ただ引きの早引きをする。

今度は斜め横上を通り抜ける侵入者にイライラする。

この侵入者がこれ以上近づいたら追っ払ってやる

と怒りに火が付いたはずだ。

 

さて、ここでいよいよ喰わせのリトリーブだ。

男は待って勝負をかける。

そして慌てないのだ。

「準備万端、仕上げをご労じろ」

 

スリットの上流にミノーをキャスト。

ラインスラックを取りながら、

水深になじませながらまずの定位する層へ。

ロッドを立てて水深を調整しながら送り込む。

リトリーブは底波よりほんの少し早くミノーが動く程度で、

大ヤマメを狙う時の僕の釣り方、

スーパースロー ドリフティング メッソッドにも通じる。

そしてここぞと言う位置でほんの少しロッドを倒す。

ここでアップストリームリトリーブにアンギュレーションが生まれる。

このタイミングでドスン!と来るのである。

サクラマスルアー

(サクラ咲く!)

 

この日は3か所目の核心のスリットであの衝撃が走った。

アリ70 アップストリーム アンギュレーション メソッドでの一本。

相棒はノリクラロッド 58MH この釣りのために築き上げられた、

ファイティング モダン バンブー である。

50cm台のサクラマスだが、この絶望的状況で絞り出した一本は

途方もない価値がある。

ノリクラ バンブーロッド ルアー用バンブーロッド

(アリとノリクラロッド バンブー)

 

アリ70のポテンシャル。

7cm 16gという重量が一気に送り込みたい層まで到達。

そして重くても泳ぐ脅威の性能。

軽いトゥイッチにキラキラと瞬時に反応するレスポンスの高さ。

ベストな状況では、早引き、激しいトゥイッチ、ジャーク、

クロスにダウンクロスに、激流の重い流れでも決して飛び出さない

物凄いポテンシャルだ。

(サクラマス アリをガブリ!)

 

今回のサクラマスも、僕のNEWメソッドを限りなくスムーズに演出してくれた。

というよりも・・・この常識破りのミノーが、

このメソッドを完結させたといっても過言ではない。

 

恐ろしいミノー アリ70・・・。

歴史が動き出した・・・。

 

本日のミッション達成。

フィールドから山口 斉にLINEを入れる。

「庄川 サクラマス アリ70で今、釣りました・・。」

短いメッセージに全ての思いを乗せた。

 

もう一つの宿題・・・

それは飛騨の本流ワイルド ビッグレインボーをアリ70で・・・

これもまた、イメージは出来上がっている。

普段はお客さんや後輩に遠慮して、

飛騨の本流にあまり手を付けていないが、

ミッションのために真剣にやらせてもらいます。

火曜日の定休日に本流レインボーを狙おうとすると、

「えーっつ・・・ヒデさん、本流やるんですか???」

暗にやるなと、同じく火曜日休みのお客から視線を送られる。

そりゃバコバコにやられたら嫌だよな・・。

師匠の則さんからも、生前よく言われた。

「地元の川は、年を取って動けなくなってからでもケンケンして行ける。

 今は封印して旅に出ろ。釣りの幅を磨くのだ。」

そんなこともあって、

いつも地元のレインボーは遠慮しながらB級、C級ポイントで狙っている。

特Aポイントはなるべく触らないようにしている。

 

今日からは、ミッション達成のために特Aポイントの封印を解く・・・。

しばしお許しを・・・。

次なるビッグファイトにご期待ください。   

                    (ネックスト ビッグワンに続く)


投稿者 : hide 投稿日時: 2015-06-05 02:24:01 (7934 ヒット)

「巨大なイトウとアリとバンブーロッド」

TOKYO ROD & GUN CLUB  田中 秀人

 

2015年 5月末のあの日。

ある一日の忘れられない出来事のストーリー。

今年もやってきた初夏の北海道。

ターゲットは道北の

巨大なイトウ。

そこからすべてがスタートする。

 

イトウは4月頃に産卵する。

この季節にイトウは産卵のため一か所に集まって来る。

ある意味一番釣りやすいタイミングだが、

産卵を意識して集まった魚を釣ることに

ためらいを覚え、中上流域でのイトウ釣りは5月の後半からにしようと決めた。

釣友の TOKYO ROD & GUN CLUBの同志、岩井とは申し合わせている。

いつまでも釣りができるように守りながら接しなければいけないと思う。

僕と彼とイトウとの紳士協定だ。

そんな思いを秘めて、今年もやってきた。

 

5月の末から6月初頭にかけて、

僕にとってのイトウ釣りオープニングシーズンの釣行だ。

今年はテーマがある。

一つはオリジナルのバンブー ノリクラロッド 58MH

で50cm~70cmのビッグトラウトを仕留めること。

もう一つは、プロトタイプで熟成を重ねる

アリ60と70でビッグトラウトを釣ること。

この2つのミッションを持って今年もやってきた北海道。

 

50cm~70cmのトラウトをアリ60&70で釣る。

この時期のこの河川ではトンギョがベイトフィッシュとなっていて、

7cmのスモールベイトに巨大魚が襲い掛かるシーンが何度も見られる。

まさにアリ70のサイズ。

これであの巨大なイトウを狙うのだ。

スモールベイトでビッグフィッシュ。

アリとノリクラロッドバンブーのテストに恐怖すら感じる巨大な相手である。

さてどうなることやら・・・

 

このテスト釣行の序章は、支流のオカッパリから。

いきなり、70cmクラスのイトウがアリ70を襲った。

プールの流れ込みでズドン。

ドバドバのファイトを抑えて、足元まで寄ってきたが

足場が高くランディングに躊躇する。

本日同行のチーム バーレの柴田氏は横でムービーを回している。

ランディングを頼もうと思ったがそんなこともあってセルフランディングで

強引にネットを突っ込むが・・・案の定、掬いそこなってバイバイ。

いきなり不穏なスタートに後悔の念がかぶさって襲ってくる。

「掬ってもらえばよかった・・・。」

 

気を取り直して、そのプールのテールにある駆け上がりを狙う。

そしてドンだ。

先ほどより2回りほど小ぶりだが、美しく元気な50cmアップの

若いイトウが食ってきた。

*(イトウ50UP)

今度はランディングのサポートを受けて無事ネットイン。

*(イトウ50UP顔)

70UPを掬いそこなった後なのでホッとしつつも、

逃した魚が悔やまれる。

完結していたらいきなりミッションクリアだったのに・・・。

 

ほどなくして移動、やってきたのは別の水系の本流。

上流域で産卵を終えたイトウは中流域まで下りてきて、

今まさに7cmサイズのトンギョを荒食いしている。

キャンプ地の横にある水路でもドバドバ捕食音が聞こえる。

いやがおうにもテンションが上がってくる。

日増しにコンディションを上げて体力を回復させている巨大なイトウ。

ゆったりと蛇行しながら流れる重い水勢にゴムボートを浮かべて、

岸際にトンギョの群れを追い込み激しく捕食するイトウを狙うのだ。

オカッパリで狙う70cm級がマックスのタックルバランスだが、

ボートからの釣りとなるとファイト中はボートで追っかけられる。

さらにボートが引っ張られることによりそれがドラッグの役目を果たす。

アシストしてくれることを考え合わせると、オカッパリのガチンコよりもう少し大型と戦えるだろう。

いや70UPでギリギリだろうか・・・。

 

そんな不安をよそにいきなり72cmのイトウが食ってきた。

まさかすぐヒットすると思わず、ネットも足の下。

バッグに入ったままのカメラも未だにスタンバイ状態にはなっていない。

流木に突っ込まれそうになるが、何とか引きずり出して、

同船の、チーム バーレ 工藤氏にネットインしてもらった。

「よしやったぞ!70cm以上あるぞ。」

 

しかしその直後の異変に気付く。

「あれ、カバンがない・・・」

ランディングのタイミングで防水の一眼レフカメラが入ったバッグを

流れの底に落としてしまったのだ。

「まずいぞ・・・この旅のすべての記録が・・・」

焦った。本当に焦った。

工藤さんも顔面が引きつっている。

まず陸に上がり、計測後に72cmのイトウを携帯のカメラで収め、

イトウをリリースして、バッグを落としたあたりへ。

70UPのイトウをアリとノリクラバンブーで狙うという今回の宿題をクリアーした瞬間だが、もはや喜ぶその余裕はない。

カ カメラが・・。

 

重いスプーンを付けて、底を探る・・・ない・・・。

バッグ・・バッグよ・・・

今度は柄の長いランディングネットをボトムまで突っ込んで、

シジミ漁のように底引きで探してゆく。

工藤さんお願いします・・・。祈る・・祈る・・・願う・・・。

すると・・・奇跡が。

「お!重い!!!」ネットにカメラの入ったバッグと、つくだ煮状にゴッチャリと収められたアリ60&70プロトのルアーたちが大量に収まったルアーケース。

コーヒー色のステンで底が見えない川底からすべてが生還した。

目測で掬い上げた天才!工藤さん!凄いぞ!

「おおーっつ。」

すかさず二人の雄叫びが上がった。

工藤さん、本当にありがとうございました。

 

あとで気が付いたのだが、携帯の72cmは全く記録されてなくてデータに残っていない。

いかにテンパっていたのか。

そしてカメラが出てこなかったら、この釣行の全記録がすべて台無し・・・。

アリのプロトもごっそり川底に葬り去るところであった。

今考えただけでもゾッとする。

 

さてこれで流れが変わったのか、運が向いてきたのか。

運命のビッグファイトが始まる。

 

「この辺りに廻ってくるんですよ。昨日ここで2本出ました。」

心強い工藤氏のアドバイス。

工藤さんは30年近くこの川に通い続ける、スペシャリストだ。

「アッツ・・いるいるデカいのが。」

グワンと尾鰭が見えた。

反射的にその1.5m位上流にキャストしてアリ70を少し沈ませ、

キラッツキラッツキラッツ3回目の軽いトゥイッチのリズムに

水面が大きく揺れて体をよじる巨大な頭が見えた。

丸呑みだ。・・・・ほんの一秒送り込んで遅合わせでドカン。

工藤さんが叫ぶ「喰った・・喰ったぞ。」

そこからは限界のファイトだ。

グリングリンに体をよじって、ボートの下に突っ込もうとするが思いっきり体をためてロッドのバットパワーに託す。

ライン12lbナイロン、ショックリーダー20lbのフロロ。

メインラインがいくか、丸呑みされたショックリーダーが歯でいくか、

ロッドが折れるか・・・。

覚悟のファイトを耐えてあの巨体が浮き上がってきた。

「デカい!頭がデカいぞ。ネットに入るか???」

*(92cm イトウ 顔)

あとは工藤さんに頼るしかない。

このサイズにひるみながらも、ギリギリのネットイン。

ネットの中だから正確にはわからないが、間違いなく80cm以上はあるだろう。

写真撮影のため陸に上がれる場所まで帰る。

途中仲間のボートとすれ違い声をかける。

「デカいの出たよ。80UPは軽くある。」

そう声をかけて陸に上がる。

本当は水の中で計測したいが、ネットが小さくて真直ぐにできない。

申し訳ないが少しだけ濡れた草の上に乗せて計測させておくれよ。

それがなんと92cm。

*(出た!92cm)

中流のこの辺りでの90Cmアップは、仲間内で数年ぶりのことだ。

ミッション達成には余りある、極限を超えたバトル。

初夏の森、ウグイスの谷渡りに共鳴したあの忘れられないメモリアルな出来事。

*(92cm 丸呑み ベリーのスプリットリングが)

 

アリの70は口の奥底に吸い込まれるように丸呑みされてガッツリ。

リーダーがナイロンだったら歯でダメだったかもしれない。

いくつものラッキーと偶然と、

運命があってビッグトラウトは手に収まるもの。

まして備えていないレベルの大物を華奢なタックルでヒットさせた場合は

持てるすべての叡智も必要だ。

 

「備えあれば憂いなし。備えよ常に。」

万全の準備があったからこそ限界を超えたファイトを制することができたのだ。

*(計測92cm すぐに水に戻します)

 

そしてリリースした後に気が付いたことがある。

ベリーフックの#3フォージスプリットリングがひん曲がって伸びて、

破壊寸前だった。本当にやばかった。

これもまたギリギリのファイトを物語っている。

*(リリースは丁寧に)

 

キャンプサイトに戻ると、その後は大変だった。

仲間が集まり、賞賛と歓喜の嵐。

そして、ヒーローのアリ70に皆の興味と感嘆が集中するのであった。

それはなんだ?いつ発売なのか?何グラム?

熟成の域に入ったアリの70がこの状況を打破した現実。

恐るべきポテンシャル。

道北の二つの水系で、

92cmを筆頭に72cm、55cm、70cm級掬いそこない、

80cm級喰いそこなってスッポヌケ、40cm~50cm 5匹。

10バイト8ゲットのすさまじい結果。

幻の魚がこの爆発だ。すべてアリの70プロトでの釣果。

このルアーなくしてこのヒットなし。

アリへの僕の期待と確信が、今まさに現実となって炸裂した。

 

アリ60&70

次のシーズンにはトラウトフィッシングの世界が変わるに違いない。

間違いなく今まで手にできなかったビッグトラウトが貴方の手にも収まる。

未だかつてないゾーン攻略とビビッドなアクションで、

ビッグトラウトフィッシングの時代が変わるのだ。

もうすぐだ、デビューまで・・・

お届けできる時まで僕らも待ちきれない。

 

完璧なミッション達成と共にサンレアル山口 斉にこう言った。

「OKだ。これで行こう。」

そしてそこには紅潮する2人の顔と、固く強く握りつぶすようなハンドシェイクがあった。

 

次のミッションは アリ60&70でサクラマス。

そして本流のファイター ビッグレインボーだ。

このミノーのポテンシャルで仕留めるイメージはできている。

あとはフィールドへ・・・・。

少し休んで、また次のミッションへと突き進む。

 

*(ヒデ 狙うぞビッグワン)

爆発的な報告ができる強い予感がある・・・。

是非、今後のトライアルにも期待していただきたい。

 

目を閉じてイメージする。キャスト、リトリーブ、アクション・・・。

ドドドドカン!!ガバガバババッツ!

そしてまた眠れない夜が続くのである。   

(ネクスト ビッグワンへと 続く。)

 


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